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デコレーター

@asyncmux と @asyncmux.readonly をクラスメソッドに付けて、インスタンス単位で排他制御を行う方法を説明します。

クラスメソッドを保護する

@asyncmux と @asyncmux.readonly は、Promise を返すクラスメソッドに付けます。ロックの対象はメソッドを実行しているインスタンス(this)です。メソッドの実行が終わるとロックは自動で解放されるため、解放漏れは発生しません。

@asyncmux — 書き込みロック

@asyncmux を付けたメソッドは、同じインスタンス上で直列に実行されます。1 つの呼び出しが完了するまで、ほかの呼び出しは待機します。

import { asyncmux } from "asyncmux";

const sleep = (ms: number) => new Promise((resolve) => setTimeout(resolve, ms));

class Counter {
  #count = 0;

  @asyncmux
  async increment() {
    const current = this.#count;
    await sleep(10);
    this.#count = current + 1;
  }
}

increment() を同時に呼び出しても、#count の更新は失われません。

const counter = new Counter();

// 2 回の呼び出しは直列に実行されます。
await Promise.all([counter.increment(), counter.increment()]);

@asyncmux.readonly — 読み取りロック

@asyncmux.readonly を付けたメソッド同士は並行に実行できます。@asyncmux を付けたメソッドが実行中の場合は、それが完了するまで待機します。

import { asyncmux } from "asyncmux";

class DataStore {
  #data = new Map<string, string>();

  @asyncmux
  async update(key: string, value: string) {
    // 書き込みは排他です。
    this.#data.set(key, value);
  }

  @asyncmux.readonly
  async read(key: string) {
    // 読み取り同士は並行、書き込みとは排他です。
    return this.#data.get(key);
  }
}

ロックの範囲

  • ロックはインスタンスごとに独立しています。別のインスタンスのメソッドは互いに影響しません。
  • メソッドが例外を投げた場合もロックは解放されます。
  • ロックを保持するのはメソッドの実行中だけです。メソッドから戻った後にロックが残ることはありません。

再入

ロックを保持したまま同じインスタンスのメソッドを呼び出すと、デッドロックを防ぐために ReentrantLockError が投げられます。読み取りロック同士の再入だけは、共有ロックとして許可されます。

class Service {
  @asyncmux
  async outer() {
    // 書き込みロックを保持したまま同じインスタンスのメソッドを呼ぶとエラーになります。
    await this.inner();
  }

  @asyncmux
  async inner() {}
}

詳しい検出ルールは並行性モデルを参照してください。

注意点

  • デコレーターには AbortSignal を渡せません。待機を中断したい場合は関数 APIを使ってください。
  • Stage 3 のデコレーターに対応していない環境では、DecoratorSupportError が投げられます。
  • デコレーターを付けられるのはクラスメソッドだけです。通常の関数やアロー関数のプロパティーには使えません。

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